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最高裁判所第三小法廷 昭和33年(あ)2310号 決定 1961年11月07日

主文

本件各上告を棄却する。

理由

被告人横銭重吉の弁護人尾崎陞の上告趣意第一点は、憲法三八条二項、刑訴三一九条一項違反をいうが、原判決の是認した第一審判決が証拠に採用している所論鈴木大蔵の検察官に対する昭和三〇年一一月一九日付供述調書および横銭やすの検察官に対する供述調書が、所論のような事情のもとに作成されたと認めるべき資料は存しないから、所論違憲、違法の主張はその前提を欠き、同第二点は、事実誤認、単なる訴訟法違反の主張であって、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。(なお、訴訟記録並びに原裁判所及び第一審裁判所で取り調べた証拠によれば、原判決の尾崎弁護人および織戸弁護人の各控訴趣意に対する判示は、相当である。)

被告人横銭重吉の弁護人織戸峯次の上告趣意中判例違反をいう点は、いかなる判例に相反するかを具体的に示していないから不適法であり、その余の論旨は、事実誤認、単なる訴訟法違反の主張であって、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

被告人鈴木大蔵の弁護人鈴木義男、同利重節の上告趣意第一点および第二点は、いずれも事実誤認、単なる法令違反の主張をいでないものであって、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。なお公務員がその職務に関し謝礼を収受した以上、その職務上とった措置が正当であるか否かを問わず贈収賄罪を構成するものであり(昭和八年(れ)一一八六号同九年三月二六日大審院第二刑事部判決、刑集一三巻四一九頁等参照)、第一審判決挙示の関係証拠によれば、原判決の鈴木弁護人外二弁護人の控訴趣意第一点および第三点に対する判示は、相当であるから、原判決には所論のような事実誤認などの違法は認められない。

被告人瀬能群吉の上告趣意は、事実誤認、量刑不当の主張であって、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。(なお、第一審判決挙示の関係証拠によれば、原判決の鬼形弁護人の控訴趣意第一に対する判示は、相当である。)

また記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。

よって同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 河村又介 裁判官 垂水克己 裁判官 高橋潔 裁判官 石坂修一 裁判官 五鬼上堅磐)

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